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2024年4月

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三重大学のほぼすべての医師が使用
Plus.Lung.Noduleは読影効率を向上させるのか?

永田 幹紀 先生

三重大学医学部付属病院放射線科
地域連携心臓胸部画像診断学 教授

三重大学医学部付属病院 教授 永田 幹紀 先生

2020年、プラスマン初のユーザーとして「胸部CT-AI Plus.Lung.Nodule」を導入いただいて以来、今も継続して活用くださっている三重大学病院。製品に対して日々どのように感じていらっしゃるか、同院の永田幹紀先生に伺いました

少しでも読影の負荷を軽くするために

私とプラスマン合同会社の出会いは、2019年の北米放射線学会(RNSA2019)後の年末に三重大学医学部付属病院放射線科に同社の製品であるPlus.Lung.Nodule(プラスマンの胸部CT-AI)の説明に来ていただいたときまでさかのぼります。

当時、医局長として毎月の診療スケジュールを組んでいましたが、医局の診断専門医たちが多忙により疲労が重なっていることを案じていました。彼らは日常の読影業務に加え、専攻医(当時、診断医と同数の専攻医が在籍)の指導、初期研修医や学生の教育、さらに自身の研究など様々な業務を抱えています。また、画像診断管理加算の要件である「翌診療日までに80%の画像診断を行い、文書により報告する」を継続的に達成するためには、少しでも読影の負荷を軽くする必要があったのです。

このような状況を鑑み、新たな取り組みとしてAI技術による読影補助ツールの利用を考えるに至り、最終的に佐久間教授に相談して放射線部門にPlus.Lung.Noduleを導入することとなりました。

読影ワークフローが変化し、肺結節の検出において読影効率が上がった

三重大学病院では、全例1mmスライスの画像で読影を行っています。Plus.Lung.Nodule導入前に私が私が行っていた読影では、肺結節の検出のために5mm厚のMaximum Intensity Projection(MIP)画像に表示変更(Viewerの重ね合わせ機能を利用)をして1mmずつ移動させながら結節の検出をしていました。導入後では、Plus.Lung.Nodule肺結節候補に自動でRegion Of Interest(ROI)表示をしてくれるため「肺結節を探す」という負荷が低下しました。その一方で、新たに検出された構造が「本当の結節かどうか判断する」という軽微な作業増えましたが、導入によって、私の読影ワークフローは変化し、肺結節の検出においては読影効率が上がったと感じています

Plus.Lung.Noduleを活用して読影をする久保岡先生(写真左)にアドバイスをする永田幹紀先生(写真右)

レポート作成のプロセスにおける補助として影響は大きい

私の読影プロセスでは、画像から異常所見の検出⇒計測⇒評価⇒診断を行っています。

プラスマンのPlus.Lung.Noduleは、肺野内のCT値上昇領域等にROIを表示、ROI表示した対象物の自動計測まで可能な読影補助ツールです。レポート作成のプロセスにおける補助としては、最初の一部ではありますが、検出できないものは診断できないと考えると影響は大きいです。

一瞬にして正確に対象としている構造を認識

結節候補の印がついたCT画像をキャプチャーして、別シリーズにまとめて表示dする読影補助ツールもありますが、これだと撮影されたCT画像のどの部位が対象であるかを認識するのに時間と手間がかかるため使いにくいです。

Plus.Lung.Noduleは、三重大学病院が使用しているViewerで、CT画像上にROIをGrayscale Softcopy Presentation States(GSPS)レイヤーとして重ねて表示してくれます。また、ボタン一つで、GSPSを表示・非表示にできるため、一瞬で正確に対象としている構造を認識することができます。

また、ボタンを設定すれば、ROIのあるスライスのみを、次々とジャンプして連続表示することもでき、これも時間短縮に利用できて便利です。Plus.Lung.Noduleは感度高く、検出漏れの頻度が少ないから使える機能でもあります。

先進的な技術を積極的に取り入れて活用していく

Plus.Lung.Noduleは放射線科の部門内での使用に限定しているため、他科の先生方には公表していません。このため、Plus.Lung.Noduleを放射線科が利用していることを知らない先生がほとんどで、大学病院への影響は少ないかもしれません。

三重大学病院は、Plus.Lung.Noduleを大学病院という大規模レベルで臨床利用した最初の施設です。大学病院には、6台のCT装置とPET-CT装置があり、これら複数装置から画像がが送られてきます。Plus.Lung.Noduleは、その画像の胸部CTだけでなく、胸部CTの一部に撮影されている肺野や頸部CTの肺尖部を含めた全ての肺野画像を自動で認識して解析し、ROI表示しています。これを撮影から10分程度で可能にしている全自動解析システムの構築をしたこともおそらく最初だと思います。こうした先進的な技術を積極的に取り入れて活用していくところは、三重大学らしいと思います。

外勤先でPlus.Lung.Noduleを入れてほしい、当院にも導入してほしい、という声も

三重大学放射線科では、基本的には読影室のすべての端末でPlus.Lung.Noduleが表示できる設定となっています。

読影の仕方は先生ごとに手順はありますが、先日、医局内で診断医向けに行ったアンケートでは、Plus.Lung.Noduleを活用している先生はほぼ全員であり、「実際に役に立っている」と考える先生が過半数、という結果が出ました。当院の放射線科でPlus.Lung.Noduleは受け入れられていると言ってよいと思います。

外勤先でPlus.Lung.Noduleを入れてほしい」という大学病院の先生の声や、「当院にも導入してほしい」という市中病院の先生の声も聞いたことがあります。

「当院の放射線科でPlus.Lung.Noduleは受け入れられている」と話す永田先生

健診施設で行われる胸部の肺癌CT検診と非常に相性が良く、担癌患者の治療効果測定にも有用

Plus.Lung.Noduleは、病変検出を目的とする検査で最大限の有用性を発揮できるので、健診施設で行われる胸部の肺癌CT検診と非常に相性が良いと考えます。

大学大学病院やがんセンター、小児がん拠点病院などの癌を扱う施設において、担癌患者の肺移転の有無の検出は、治療方針の決定に関わるため非常に重要です。また、オートトラッキング機能(同じROIの自動紐づけ機能)により、結節の大きさや数の変化による治療効果測定にも有用と考えます。

一方、細気管支炎などの感染による結節では結節が多すぎて、逆にCT画像の邪魔になりかねないのであまり向いていないかもしれません。

結節の性状の分類、複数検査における大きさの変化など評価の補助ツールとして進化することを期待

Plus.Lung.Noduleは、肺結節の検出と計測までの読影補助ツールであり、現在はわたしの読影プロセス(異常所見の検出⇒計測⇒評価⇒診断)の前半部分を補助しています。

今後は、結節の性状の分類、複数検査における大きさの変化など評価の補助ツールとして進化することを期待しています。また、新たな病変の検出と計測(例:肺野であれば小葉感覚壁の肥厚の検出、網状影の検出、石灰化、脂肪成分など)の分野も拡大されるとより詳細に正確に診断にたどり着けるかもしれません。

肺野以外に、血管径の計測、全身リンパ節の計測など、ちょっとした手間を自動的に行ってくれると疲労軽減に役立つと期待します。

三重県といえば

全国的によく知られているけれど「実は、これ三重県だったんだ」という場所がたくさんあります。私は三重県出身ではないので結構驚きました。

伊勢神宮、熊野古道、伊賀忍者、伊勢海老、ミキモト真珠、アマさん、松阪牛、長島スパーランド、鈴鹿サーキット(F1グランプリ開催)などはいずれも三重県にあり、お土産の定番である赤福、日本酒の而今(じこん)、作(ざく)なども伊勢志摩サミット後に全国的に有名になりました(現在、観光三重のHPで三重県の観光案内が紹介されています)。

三重大学病院がある津市ではうなぎ屋が多くおいしいです。

オフは何を?

比較的、誰とでも仲良くなる(お酒があれば 笑)。短時間で環境に適応できる(!?)。

こども達と一緒に始めたテニスはオフによくやっています。時々、サイクリングにも行きますよ。ブルベ(長距離サイクリング)や鈴鹿サーキットのエンデューロにも参加したことがあります。最近、カホン(ペルー発祥の箱型の打楽器)を購入して始めたところです。

自慢できることは?

比較的、誰とでも仲良くなる(お酒があれば 笑)。短時間で環境に適応できる(!?)。

永田先生からひとこと

住んでみてわかったんですが、三重の食は美味しい。穏やかな人が多い。都市部で疲れたら三重に住むのもありかもしれない。

 永田 幹紀 先生

   三重大学医学部附属病院放射線科

   地域連携心臓胸部画像診断学 教授  

 

     2023年 三重大学医学部附属病院放射線科

         地域連携心臓胸部画像診断学 教授(~現在)

     2020年 三重大学医学部附属病院放射線科 講師

     2015年 三重大学医学部付属病院中欧放射線部 助教

     2006年 山梨県立中央病院放射線科

     2005年 山梨大学医学部附属病院放射線科 助手

     2005年 山梨医科大学(山梨大学)卒業  

本稿に登場した製品情報

■一般的名称  汎用画像診断装置ワークステーション用プログラム

■販売名    Plus.Lung.Nodule プラスラングノジュール

■認証番号   301AGBZX00004000

■製造販売業者 プラスマン合同会社

■ウェブサイト https://plusmanllc.co.jp/technology/pluslungnodule/